会員の新刊紹介
会員の新刊書と協会賞受賞作品の関連書籍をご紹介します。
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発売日が新しい順
ホノルル ペストの火 1900年チャイナタウン炎上事件
ジェイムズ・C・モア(著) 大脇幸志郎(翻訳)
出版社:生活の医療社 発売日:2022/8/2
火のおかげで、ホノルルのチャイナタウンからペストはなくなった。火のおかげで、家も、金も仕事も生活も、チャイナタウンそのものも、丸ごと焼けてなくなった。
1899年、ハワイのホノルルをペストが襲った。チャイナタウンと呼ばれる、中国や日本からの移民が形成したスラム街が流行の中心地となった。三人の医師がペストに立ち向かい、ハワイ全土に及ぶ絶対的権限を与えられて大胆な公衆衛生政策を遂行していった。
三人の医師はきわめて優秀だった。当時最先端の細菌学を活用しただけでなく、過熱する世論を抑制し、現場の声に耳を傾け、何よりもハワイの伝統文化に対する深い敬意を持っていた。
しかし三人が汚染された建物の焼き払いという策を打ったとき、火は思いがけない突風のため燃え広がり、チャイナタウンのほぼ全域が焼け落ちた。
これは、一方では公衆衛生政策の勝利の歴史である。しかし同時に、人種差別と帝国主義に強く影響された悲劇の記録でもある。
当時の新聞や議事録、オーラルヒストリーなどの博捜に基づく圧倒的ディテールによって、歴史・政治的背景と複雑に絡み合う思惑と理想と偶然が再生される。
ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う
風間 直樹(著) 井艸 恵美(著) 辻 麻梨子(著)
出版社:東洋経済新報社 発売日:2022/3/11
日本の精神科病院を取り巻く現状は他の先進諸国と比較して異常な点ばかりだ。なぜ、世界標準からかけ離れた日本特有の精神医療がまかり通っているのか。本書は、東洋経済新報社の編集局宛に届いた、閉鎖病棟からの退院を望む患者の手紙をきっかけに、調査報道部の記者3人が足掛け3年に及ぶ精神医療に関する取材の記録である。当事者たちの切実な声に耳を澄まし、日本の精神医療の抱える深い闇へと分け入っていきたい。
2021年第10回日本医学ジャーナリスト協会賞受賞作品(Web連載)の書籍化。
悪いがん治療 誤った政策とエビデンスがどのようにがん患者を痛めつけるか
ヴィナイヤク・プラサード(著) 大脇幸志郎(翻訳)
出版社:晶文社 発売日:2022/2/2
その治療、患者の利益になっていますか?
昨今無数に登場しては話題を集める「がんの新薬」は一般社会から高い期待を受けている。しかし、その効果はしばし誇大に説明され、現実を大きく超えた期待を呼び起こしてしまう――
人びとのがん治療のとらえ方が歪めさせ〈悪いがん治療〉に導いてしまう要因とは何か? 現役の腫瘍内科医が、医薬品開発・医薬品行政の根本的な問題を明らかにし、医学で言われる「エビデンス重視」に警鐘を鳴らしながら、患者にとっての真の利益とは何かを考える。