胃を切った後に様々な障害が起こることを知る人は少数です 。田辺功・前日本医学ジャ―ナリスト協会副会長(胃全摘者)が書いています。ある消化器外科医が胃がんセミナ―で、「私が手術する患者さんには『胃は食べ物を一時的に溜めておくだけの場所だから手術で無くなっても全く困らない』と説明してきた。しかし自分が手術を受けたら、『ダンピング症候群』『逆流性食道炎』『食欲不振』『嗜好の変化』など、多様な症状が生じ、苦労の連続であり、私には対応策がない」と苦悩を語った、と。(胃を切った人友の会会報「アルファ・クラブ」2020年1月号)
こうした「胃切除後障害の低い認知度」は、日本外科学を取り巻く伝統的思考が生み出したものです。第1は「手術で救命されたのだから術後の症状くらいは我慢してもらいたいとの執刀医の暗黙の圧力」。第2は「1つの医療施設の中だけで評価される手術・術式の存在」です。そんな時代にあって「胃切除後のQOL(生活の質)の改善は、胃がんの根治とともに重要な治療目標」との思いを抱いて立ちあがったのが、本日の講師・中田浩二氏です。そして「志を同じくする」7人の若手・中堅の消化器外科医が自然発生的に集まり、2006年に「胃癌術後評価を考える」ワ―キンググル―プを結成しました。この研究会の最初の取り組みは、胃がん手術の評価基準の設定と胃切除後の実態調査でした。その結果、手術・術式の有用性を客観的に知ることができる「共通の物差し」が日本で初めて確立しました。「術式の優劣=術後のQOLの違い」が科学的に評価・予測されるようになったのです。外科学における“全国共通模擬試験”の誕生ともいうべき画期的な成果です。
研究会は胃術後に起こる多くの「障害」「症状」に対する「最良の医学的対応策」を求めて研究を続けています。90項目にわたる研究結果をまとめた『胃切除後障害診療ハンドブック』(南江堂)が会場で回覧されます。今、研究会は「胃切除後障害対応施設」の全国ネットワ―クの構築に力を注いでいます。全国に69施設が設置され、200施設を目標にさらに積み上げています。研究会は、外科医256人・メディカルスタッフ60人の組織に成長し、「患者目線での研究」と「患者に寄り添う診療」を進めています。100万人(推計)ともいわれる胃切除後障害者の救済に、その活動が期待されています。
講演会では、胃切除後のQOLの確保を阻害する要因を排除するための具体策が細かく報告されます。
日時
場所
内容
講師
2020年3月10日(火)18:30~20:30 (18:00受付開始)
日本記者クラブ(日本プレスセンター9階) 会見場
千代田区内幸町2‐2‐1 TEL:03-3503-2721
「胃切除後障害の克服に向けた取り組みについて
――胃はただの袋ではない」
中田浩二氏
(東京慈恵会医科大学附属第三病院 臨床検査医学講座教授)
会費
申込み
会員 1,000円
非会員 3,000円(会員の紹介・同伴者の方)
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